たそがれ清兵衛

2002年11月17日
 妻と映画「たそがれ清兵衛」を観に行く。
 出演者の田中 みんさんの主宰していた舞塾に若い頃参加していたので、是非観てみたかったのだ。
 田中 みんさんの演じる余吾 善右衛門が自分と重なり、清兵衛の人生も自分と似ていなくもなく、涙が出そうになった。
 私も空手の多少の使い手で、若い頃、田中 みんさんや他の芸術家の所に出入りして、放浪生活のような日々を送っていた。
 27歳で妻と結婚し、コンピュータ関係の会社で働いていたが、仕事上で幸せだと思ったことはなかった。
 やがて子供ができて、家庭は幸福だったが、仕事上の不安は消えた事がなく、満足感もなく、結局不況と人間関係により追われる様に会社を辞め、造園学校に入り、今の仕事をしている。
 植木屋は美を求められる仕事なので、若い頃の研鑚が役に立つかと思ったが、現実はただの労務者に過ぎず、若い頃やっていた土方やとびの手元の方が、まだ金になる始末。
 映画の中の清兵衛や余吾と全く同じ状況だ。余吾をやっていた田中みんさんは知っている人なので、余計それを強く感じてしまう。
 多分今のサラリーマンや労働者のほとんども、この映画を観たら、閉塞した今の状況の中の自分を清兵衛や余吾の中に見てしまうだろう。
 山田 洋次の作品にしてはシリアス過ぎて地味な映画だったが、田中 みんさんの映画初出演が成功していたんで、まずは良かった。永 六輔も絶賛していたゾ!
 それでもって、午後は空手の指導。館長の私の先生は何故か田中 みんさんに似ている。みんさんは世界の舞踊家。私の空手の先生も世界中に名前の通った空手家。年齢も背恰好も、醸し出す迫力も・・・。こういった達人や天才と呼ばれる人に不思議と縁があるのはありがたいが、食うためにやっている仕事で、そういった人と縁が無い。ここが私の仕事上の最大の不幸なのかもしれない。仕事上で心から尊敬できる人に縁がないのだ。
 夜は、妻に持ってきてもらった求人票を頼りに、1件の造園会社を見に行った。固定給で条件がいい。だが、今の会社を現時点で辞めて、はたしてプラスになるのかどうか悩んでいる。
 もうすぐ、幼馴染の友人達や、空手仲間や、造園学校の仲間と、じっくり話す機会があるので、みんなに相談してみよう。
 余吾 善右衛門のように、家族を抱えての放浪生活は、あまりにも惨めだ。
 妻と子供達には最低限でも、安心して生活できる場を与えなければ。
 私は自分の造園会社と庭園研究所をやるために、今の世界に足を踏み入れたのだ。心が揺らぐ事はあるが、絶対に諦めないぞ。サイドビジネスでコンピュータ関連の仕事をやる話も前職の友人から来ている。それで資本金を貯めなければ。
 私は必ず成功する!

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