名人と働く

　今日のメンツはF園のF親方とそこの若い衆A君と矢名の頭と私。F親方は、この道30年以上、植栽の名人と言われている人だ。オオムラサキツツジとハナミズキの街路樹を移植する。F親方は貫禄たっぷりに悠然とユンボを操りツツジを掘り上げて行く。A君の動きは抜群だ。さすが名人の弟子。
　矢名の頭は緊張気味で少しヒステリックになっている。私はついていくのがやっとだ。慌てて4tトラックの上から落ちて、縁石にすねをしたたか打ちつけてしまった。常人なら骨折ものだが、そこは実戦空手歴ん十年。今でも痛いが、骨折は免れたようだ。
　名人の技をいろいろ盗み見たが、名人の動きはまずゆったりとしている。気持ちも落ち着いていて、ヒステリックにならない。無理無駄ムラがないため、それでも仕事ははかどる。根巻きの仕方、葉の透き方、重機の扱い、全てに余裕があるのだ。私がトラックから落ちた時も「ケガは大丈夫？」と聞いた後、怪我が無かったことを知ると「まあまあ、そう慌てずに」と微笑んでいた。うーーむ、名人の余裕・・・。
　私もまだまだF親方から盗むことがいっぱいある。明日も一緒に仕事だ。技を盗まなければ！