四つ目垣

2002年4月4日
 ニ日酔いでふらふらのまま仕事に出た。今日は職人には公式の仕事がなにもない。年度始まりなので、公共関係が暇なのだ。それぞれ、会社の園芸店の整備、植木畑の整備、会社の寮の前の古い四つ目垣の撤去と新設にゆく。私は空手兄貴とで四つ目垣だ。竹とシュロ縄と道具をダンプに積んで、会社の寮へ向かう。空手兄貴は私より酷い二日酔いなので、運転は私がした。2tダンプは新しくてパワステほか装備も良く調子がいい。
 会社の寮につくと、ノロノロと準備を開始。寮といっても、4部屋もあるのに、今は若い現場監督のE君しか住んでいない。社長も公認で彼女と住んでいる。彼女のサンダルが彼らの部屋の前にあって、ちょっとゾクッと来た。昔はこの寮と会社の2階に10人近い職人が住みこんでいたそうだ。
 四つ目垣は立て子1,100mm、幅3間、胴縁3段で、カイズカカラゲはしない。全部イボ結びで結束。空手兄貴が「ノックダウン・・ノックダウン」とブツブツいいながら仕事をしている。相変わらず変な人だ。寮の前の道を植木屋のトラックが沢山通りすぎて行く。「ヘタな四つ目垣作ってやがんなあと思いながら見てるんだろうなあ」と空手兄貴がつぶやく。二人連れのオバサンは「こうゆうの庭に作るとキレイなのよねえ」と言いながら歩いていった。仕事は午前中にほぼ終了した。飯を食って二人とも爆睡。1時のアラームで飛び起きて植木畑へ赴く。
 植木畑では、兄貴は竹材や丸太を置く場所を整備。私は腐葉土化した枝葉を空いている畑に軽トラで運ぶ作業。腐葉土化した枝葉も半端な量じゃない。フォークを振るって汗を出していると酒が抜けてきた。いいぞ!5時前に作業を中断し会社に戻る。会社ではオートレース狂のおとっつぁんが園芸店の整備をしていた。彼は定年前でモチベーションが下がっていて、職人の序列が私よりも下にされてしまったのだ。私はケツから2番目になり、仕事も全部みんなと同じようにやらせてもらっている。人間ユンボがいる下請け会社への研修も火事騒ぎと、「仕事もやらせてみれば結構出きるジャン、植木屋のしきたりも知ってるし」ということでなし崩しになった。うれしい。入社2週間しか経っていないが、今では刈り込みや剪定もバリバリやらせてもらえる。専門校のH野先生の教育が良かったのだろうと、つくづく感謝。
 後片付けを終え、手や顔を洗って5時半に帰る。「今日は久々に早いなあ」と矢名の親父。日報をもらったので、今日から付けなければ。これを元に出勤日数や残業も算出するそうだ。
 とにかく家路。今日は明日のジョーの最終回だ。早く帰ってビデオが見たい。景色はまだ明るかった。

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